梅干しを作るのは大変に手間がかかる作業だ。
梅の木に梅の実をどれだけ成らせたいか、考えながら前の年から剪定。
梅が咲いて実がなったら梅雨前に木に登って収穫。
持って帰って一つ一つヘソを取って洗い、水につける。
水から出して塩漬け。
カビないように毎日様子を見ながら管理して梅雨を越す。
梅雨が明けたら赤紫蘇を積んで灰汁抜きをして梅酢で揉んで梅に加えて、土用干し。
夕立に注意しながら時々ひっくり返して三日三晩。
真っ赤な梅酢に戻して寝かす。
半年くらいしたら梅酢を抜いて甕へ入れ、三年。
やっと日常の食卓へ。
なんか、恋みたいだ。
出会う前からの仕込み、演出、そして暮らす。
食べるのは一瞬。
儚い。
君が呼んでいる
俺にはきこえる