犯罪の匂いしかしなかった。
巻き込まれる。ゼッタイ。

彼の放った台詞には
それを充分に予感させた。

えーっと。
言っときますけど自分、
ワルいコトとかはしませんよ。

先に断っておいた。

心はすでに警戒心でいっぱいだ。
思えば
この人達に関わって
ロクな思い出がない。
(さっきまで楽しい思い出ばかりだと思ってたけど)

出禁になったり、
車で轢かれたり、
チンコにワサビ塗られたり、
飲んでるコーヒーに内緒で
吸殻入れられたり、

自分でも
よくついてきてんなーと思う。

もう帰ろ。
さっさと帰ろ。

そんな思いでいっぱいの自分に

相変わらず無表情のゾモさんは
こう言った。

村門ってお店、
ペコも行ったコトあるやろ?

あまりにも予想外な一言だ。

村門と言えば。

オーナーのタツルさんって人がやってる店。

一回出たコトあるな。

あの日だ!
山王祭りの日だ。

知ってます。
ライブ1回しました。
あのコワそうな感じの
オーナーさんトコっすよね。

でも前出た時、
なんか一緒に出てた人、
リハ終わりにオーナーさんの背中とか腰とか
マッサージさせられてましたよ。
ヤクザかと思いましたよ。
あのハコってハコ代、タダなんすか?
※後日、この人は整体師さんだった
というコトが判明するが、その時は
まだ知らない。

いや、タダではないケド、
実質タダみたいにできる方法はあるわ。

タツルさん、今、
店で働いてくれる人が欲しいって言ってた。
だから、ペコがイベントやる日に
働けばイイんじゃない?

と。

なるほどな。

そーゆーコトですか。
思いつきもしなかった。
さすがゾモさんである。
思考が斜め上なのだ。

しばし考えた。

が、そんなものは
考えたって仕方がない。

やってみてもないコトを
想像であーだこーだ言うのは
好きでわないのだ。

自分は常にそうやって生きている。

まずやってみる。
嫌ならすぐやめる。

廃棄処分の弁当を知り合いに
破格で売るためにコンビニでバイトしたが
廃棄処分の持ち帰りは禁止と言われ、
ならば用はないとばかりに
1週間で辞めた。(実働2日勤務/4時間)

イベントのフライヤーを巻こうと思い、
呼び込みのバイトもしたが、
雪が降ってきたので寒いから辞めた。
(実働1日/1.25時間)

深夜のファミレスのバイトも思いの外
忙しくて、めんどいなーとか思い、
入口の鍵を施錠し
客が入れんようにしたらクビになった。

ボーっと立ってるだけだし
ヒマそーだし
曲でも浮かぶかなーと思って始めた
交通誘導もトランシーバーのやり取りが
めんどくさくなり、トランシーバーを
その場において帰った。

もちろんクビになった。

しょーがない。
イヤなんだから。

自分の立場から言わせてもらうと、
イヤな時はちゃんと言ってね!
なんか考えるよ!

とか一言、
言ってくれれば対応できたのに。
と。

でも決まって怒られる。

言っとくが、
怒られるのはゴメンなのだ。

そもそも怒られるようなコトをしてる
自覚がない。

自分的には立派な冤罪である。

金輪際、怒るのは
自分ん家の奥さんだけにしてほしい。
ホントはそれですらイヤなのに。

そんなこんなで
無責任極まりない自分。

だからこそ
せめてやる気あるコトぐらい
臆するコトなく進んでたい。

人生は自分のもの。
他人のために使いたくない。
自分のために生きてるだけで
他人もなんか勝手に幸せになってくれる。

そんな理想的で
都合の良いギヤをずっと探している。

今回もそのギヤ探しの一環である。
ハマるかアテがってみて、
ハマればラッキーだし、
ハマんなきゃ他所行くし。

そんくらいの気持ちで挑むコトにした。

こうしてゾモさんという
サイコーにサイアクな先輩のツテを頼って、
三度、扉の向こうに足を運ぶコトとなる。

いよいよ、対峙するワケなのだ。

あの、

タツルさんと。

ー続くー

-MUSIC CLUB MURAKADO-

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