じいちゃんというものを知らずに育った。
じいちゃんが何かは知っていたが、俺には生まれた時からそれがいなかった。
そんな俺にじいちゃんが出来た。
じいちゃんとは5年ほど前に出会った。
それ以来じいちゃんは3日にあけず俺ん家にコーヒーを飲みに来る。
朝7時に玄関の戸を叩く音「おーい」と言うじいちゃんの声。
早すぎだって、笑。
酒も飲まないのに村門にも時々来る。
家建てる現場にも来る。
コーヒー豆買うエコーレにも自然食の店にもたまについて来る。
エンジンがついた物は何でも治せるしエンジンが付いてない物何でも治せる。
鉋でも鑿でもチェーンソーでも何でも研げる。
山のことは村で一番知っている。
俺の知恵袋、じいちゃん85歳。
ここ最近来ない。
注射を打って以来、見る間に調子が悪くなっている。
「死んだら困るなぁ、じいちゃん」
とか言っていると原付スクーターの音が。
「おい、コーヒーくれ」
そんな俺のじいちゃん。