壁を塗っていたら、背後から何か気配を感じた。振り返ってみるとそこには、昔(明治か大正あたりか)の人が野良仕事をする時に着るような(というかそのものだ)ヨレヨレのボロを着た男がだって居た。身長は150cmほどで、歳は俺と同じ50歳前後だろうか。顔にこれと言った特長は無く、目は少し疲れたように窪んでいる。彼はじっとこちらを見ていたが、現代の人でもこの世界の人でもなさそうだったので、挨拶もしなかったし話しかけもしなかった。
昔ここに居た人かな、と思いながら今一度壁に向かって作業を再開した。それからしばらくは背中に視線をかんじたが、嫌な気持ちはしなかった(というかむしろ温かいものを感じた)ので気にせず作業に没頭していたら、次に振り返った時にはもう彼はそこに居なかった。
さようなら、五平さん(便宜上こう呼ぶことにする)、また会えるかな。
つづく

数年前に砺波の古民家を直す仕事をしている時に書いたのだが、駄作。。。

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