自分が村門に出入りするようになったのが
ちょうど11月。

ほどなくして
世間は忘年会シーズンを迎える。

イベントメインで物事を考えていた
自分にとっては
世間の流れはあまり気にならなかったが、
タツルさんは違っていた。

タツルさんとわ
そもそも料理人なのだ。
(ま、皆の方がよく知っているだろけど)

そんなタツルさんから
忘年会の案件をもらった。

コース料理のオーダーである。

何品かをオードブル形式で作るアレ。

なんとなく

あ、出来ます。

と軽く答えといた。

力仕事の奴らだからさ、
腹一杯になるよーなもん作ってやってくれ。
山盛りパスタとかあんだろ。
そんなやつメインで何品か頼むわ。

了解しました。

と。

20歳で富山市に移ったので
自炊くらいはできる。

ましてや
ろくすっぽまともに働いたコトもない自分。

バイトtoバイトの10年くらい。
飲食業なんて
フリーターのテンプレみたいなもんですよ。

意気揚々と
業務用スーパーで買い出し、
当日に備えた。

して当日。

料理をメインに任され、
せっせと仕込む。

村門にはたいした調理器具はない。

ガスコンロと
ホットプレートを駆使して
複数の料理を一度に作る。

自分としては
無難にこなせたと思っていた。

あらかたの料理を出し終え

フゥ。
と一息。

今日のタツルさんはホストに徹している。

昼間の仕事仲間が集う忘年会。
日頃の感謝と労いを兼ねて
この場が開かれた。

徐にカウンターに戻ってきたタツルさん。

ペコ、
アレ何よ。
オマエ、何だしとんがよ。

え。

言われている意味が理解出来なかった。

えぇと。

あのなー、
今日の料理、
一体どこに
オマエがおるんよ。

まだ言われているコトが把握できなかった。

今日のメニュー。
全部、既製品の味やろが。
オマエの作り上げた味って
一個でもあったかよ。
美味い不味い以前の問題やぞ。

やっと把握できた。

自分のしたコトの意味が把握できた。

音楽でいうトコの
コピーバンドで
武道館コンサートをしたようなもの
だというコトなのだ。

タツルさんにとっては
音楽だろうが
料理だろうが
同じコト。

いやきっと
全てにおいてそうなのだろう。

自分であるコト。

コレに尽きる。

それにつけて
自分はどうだろう。
他人のフンドシで、
しかも
たいしたフンドシでもない
フンドシで。

いや、
タツルさんからしたら
最早、フンドシですらなかったであろう。

具合が悪くなった。
ついでに
申し訳なかった。

タツルさんも溜まりかねてしまったのだろう。

自分よりも
むしろタツルさんが可哀想に思えた。

日頃の苦楽を共にした仲間に
不義理を働いてしまったのだ。
しかも
自分の雇った人間のせいで。

板挟みもイイトコだ。

村門に足を運んで
最もシンドかった日は、
間違いなく、、、。

この日。

そして、
自分の中の
扉みたいなものが

開き始めた日でもある。

扉の向こうが気になってきた。

そんな2019年末だった。

ー続くー

-MUSIC CLUB MURAKADO-

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