この街の飲み屋(競輪じゃなくて酒のほうね)の世界で「主」と呼ばれる30年超級のマスターが数人居る。

その内の1人を「とっつぁん」と呼んで俺は懐いてる。

とっつぁんは俺と干支が同じだから今64歳か。

バツイチ独身で顔はへらべったく中肉中背でワガママなのに、いつも彼女が何人もいるという常夏ならぬ常モテ男だ。

時たま俺なんかが店へ行けば、潤んだ目で彼を見つめる女がカウンターの片隅によく居たりする。しかも毎回違うラインナップで。

そういう女たちにも俺は果敢に話しかけるんだが、話してみると大抵ファザコンでジジイ好き、なんとなくこれまでの人生に闇(病み)を抱えている方たちで、容姿は悪くない。

俺「とっつぁん、ここは病院か?」
と「そうだよ」

そんな彼の店には背広来たモテない男たちも結構やって来る。

そしていつも彼らに向かってこのオヤジが言うことは、

<モテんやつの三原則>
・人の話を聞かない
・自分のことばっかり話す
・話が面白くない

所謂鉄板のやつね。

でもまあその通りだと接客歴25年の俺も思うし、

逆に言えば、
・女たちの話に黙って相槌を打ち
・自分を自慢せず
・話すときは短く面白く

これをやればモテる、ってことか。
と背広諸君は思うんだろうが中々そう甘くはない。

こんな物は恋愛教科書のイロハのイであって柔道で言うところの受身であり出来て当然、常ならんが抜けている。博打で言う鴨ネギ教育ってやつだ。

俺から見たとっつぁんは

・背筋がいつもピンと伸びて姿勢が良く清潔
・話は面白く、3〜4回のキャッチボールで落ちがつくようにサッパリと組み立てられている
・明朗にエロい

この三種の神器を自分の個性と合わせて使うことで彼は恋愛道八段の座に君臨しているのだろう。

達人は投げられることがあまり無いから受身は要らない

俺の三種の神器についてはまた今度機会があれば、ね。

あ、どうでもいいね。

どうもすいません。

関連記事

Translate »