ハコ全体から木の香りがする。

炊いたお香と混ざり合う。
そして、
熱を得たアンプの放つ匂いと共に
自分の嗅覚を刺激する。

およそ
今までのハコで味わったコトのない感覚。

ま、
ちょいとばかし色も足してあるので、
実際で言うと、

へー、
中って、こんなハコだったんだー。

ぐらいの感覚。

しかし見渡せば見渡すほど
景観の良い店内。
目に映る全てが風景になっている。
防音/吸音/消音の類を匂わせるような
ものは一切ない。(※1)

だいぶ気合い入ってんなぁ。このハコ。
いや、ココはハコじゃねー。
れっきとしたbarだ。

当時の自分は
そんなコトを思っていたと思う。

とわ言え、機材オタクの端くれである自分。
やはり気になるのが、

音。

見る限り、
取り立てて目立った機材はない。
キャパに見合ったモニターが置かれ、
基本的にアンプから直でフロアに音を出す。
唯一、ミキサーを通るのがマイクのみ。
いわゆる中音(なかおと)を出すモニターと
外音(そとおと)モニターが共存したカタチで
フロアに届くシステム。

いや、システムっつーか
単なる結果。

うーん。シンプル設計。

その
あまりにもダイレクトに伝わってくる
サウンドに対して
齢四十も超えた今でこそ、

これぞ、ライブハウス。

と思えはするものの、
当時の自分の耳を
満足させる音には至らなかった。

そんなステージの隅に
ミキサーをイヂる男がいる。

長くなったケド、
そーです。

『タツルくん』です。

ー続くー

※1… 通常、ライブハウスにおける
サウンドの大敵とは反響である。
いわゆるハウリングというやつ。
反響板となる壁に
吸音なり消音なりの材を施すことにより
対策する。
一方で響いてほしい音に対しても
同様の効果が起こるために機材のスペックを
上げざるを得なくなる。
(この無限ループが迷路)
どのハコも
このループに折り合いをつけて
(サイズ、音、予算、方針等)
日々、営業しているのです。

-MUSIC CLUB MURAKADO-

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